1.介護分野における外国人雇用制度の沿革
介護分野における外国人材の受け入れは、EPA介護福祉士候補生の受け入れからスタートし、平成29年11月からは、外国人技能実習生に介護分野が追加され、介護施設で技能実習生が働いています。
新たに創設された「特定技能」では、技能実習生から特定技能に移行することが想定されていますが、介護分野では実習生から移行する対象者は、3年ほど経過してからの話になります。
2.留学生の採用
そこで、目を付けたのが「留学生」、留学生は、日本語学校で日本語を学び、介護福祉士の養成校で介護の専門知識を学んだ優秀な学生たちです。学生の間、資格外活動の許可を得て、介護施設でアルバイトをして、介護現場の様子を経験します。受け入れる施設も外国人雇用の理解を深めることができます。
お互いのマッチングがうまくいけば、卒業後「介護」又は「特定技能」の在留資格で採用することが可能です。
3.評価試験合格者の採用
日本の介護施設で働きたい外国人は、特定技能の評価試験等に合格すれば、日本で働くことができます。EPA介護福祉士候補生のうち資格取得ならず帰国した外国人もこの試験に合格すれば再度日本の介護施設で働くチャンスができました。
EPA(経済連携協定) (インドネシア・フィリピン・ベトナム) |
在留資格「介護」 (H29.9.1~) |
技能実習 (H29.11.1~) |
特定技能 (H31.4.1~) |
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入国要件 | 介護福祉士候補者として入国 |
介護福祉士国家資格取得者 (留学生又は技能実習生として 介護福祉士養成学校で学ぶ、 又は 施設で働きながら資格取得可能) |
技能実習生で 入国 |
技能水準・ 日本語能力水準の 試験合格者 |
日本での 活動 |
介護福祉士養成学校で学ぶ又は 施設で働きながら資格取得を目指す |
施設等で就労 |
実習実施者の下で実習 (最大5年間) |
通算5年 施設等で就労 |
活動終了 | 介護福祉士国家資格取得で長期就労可能 | 在留期間更新で長期就労可能 | 帰国 | 帰国 |
4.介護分野の外国人の要件
従事する業務内容、能力評価のための試験等については、つぎの表のとおりです。
共通(特定技能1号・2号) | 特定技能1号 | 特定技能2号 | ||||
特定技能外国人が従事する業務区分 |
技能水準及び 評価方法等 |
日本語能力水準及び評価方法等 |
試験免除等となる 技能実習2号 |
技能水準及び評価方法等 | ||
職種 | 作業 | |||||
【特定技能1号】 身体介護等(利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつの介助等)のほか、これに付随する支援事業(レクリエーションの実施、機能訓練の補助等) ※利用者の居宅で行われるものは対象外 |
介護技能評価試験 |
介護日本語 評価試験 |
国際交流基金日本語 基礎テスト |
介護 | 介護 | - |
日本語能力試験 (N4以上) |
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介護福祉士養成施設修了 | 免除 | 免除 |
5.介護分野の受け入れ施設の要件

①訪問系サービスは、対象外
②受け入れ人数の制限:事業所単位で常勤介護職員の総数を超えてはならない
③介護分野特定技能協議会に加入し、必要な協力をすること
④厚生労働省等の調査、指導に協力すること
⑤直接雇用すること
⑥日本人と同等以上の報酬額を払うこと
⑦雇用契約終了後の帰国費用を負担すること
6.介護分野で働く外国人の将来性
技能実習や特定技能の資格で働く外国人は、「介護福祉士」の資格を取得することで、「介護」の在留資格を取得することが可能になり、在留期間の更新をしながら、長期間日本で働くことが可能になります。その場合、家族を呼び寄せて、日本に生活本拠を置き、生涯日本で働くことも可能です。
介護施設にとっても、技能実習生で5年間、特定技能で5年間経験を積み介護福祉士資格を持った外国人は、施設内でベテラン職員として、安心して仕事を任すことができる存在になり、安定した人員体制を維持できることになります。
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